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新刊

定価 2420円(本体 2200円+税10%)
四六判 並製 ・355ページ
2024年 8月 19日 刊
ISBNコード:978-4-8269-0262-5
分類コード:C0030
MYTH OF EXPERIENCE by Emre Soyer & Robin M Hogarth

経験バイアス ときに経験は思考決定の敵となる

エムレ・ソイヤー&ロビン・M・ホガース 著 今西康子 訳

日常生活や仕事の経験から、私たちは、いとも簡単に、間違った教訓を学んでしまう。

――トーマス・ギロビッチ(コーネル大学教授)

 

経験はどんなときも素晴らしい教師である、というのは幻想にすぎない。実は、経験を積むことによって、物事がはっきり見えてくるどころか、バイアスに足を取られ事態をややこしくしてしまっているケースが多い。
では、どうすればいいのか?

 

買い物から、仕事、教育、選挙、人生まで、過去から正しく学び、よりよい意思決定を下す方法を行動科学者と認知科学者が解説する。

目次

序章 経験はすばらしい教師だ――が、そうではないこともある
経験―それは頼れる教師
学習になじまない環境―見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?
経験からの教訓―いったん学んでしまうと、忘れるのは難しい
経験幻想を捨てる

 

第1章 人をあざむくストーリー――経験が単純すぎる物語になるとき
ランダムネスを無視したストーリー
時間をすっ飛ばしたストーリー
過度に一般化されたストーリー
自己成就するストーリー
真実に近いストーリーを作る―ストーリー懐疑論者とストーリー・サイエンティスト
見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

 

第2章 ひらめきの喪失――経験が創造力を削いでしまうとき
アイデアを見極めるときの先見性の欠如
アイデアを見極めるときのプロセスの軽視
アイデアを生み出すときの独創性についての誤解
アイデアを生み出すときの視野狭窄の罠
ひらめきを取り戻す―自律性を育む時間と空間
ホビー・ハック―一見無駄に見える実り多き時間
熱中できるものへのエスケープ―生徒の創造性を解き放つ
管理職会議―ビジネスリーダーの問題解決フォーラム
見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

 

第3章 リスクに気づかない――経験が危険を隠してしまうとき
あらかじめ経験しようのない大惨事
先を見通せない―専門家の知見と過去の経験のギャップ
経験から学ぶ災害の教訓
事後対応と未然防止―大惨事が回避されたとき
間一髪―危うく難をまぬがれたとき
現実のリスクを把握する―統計リテラシーを高めるメリット
見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

 

第4章 見せかけの自由――経験が選択の幅を狭めるとき
熱くなっている?―情動体験をデザインする
どちらが好き?―選択体験をデザインする
ゲーム感覚でいかが?―インタラクティブ体験をデザインする
あなたは誰なのか?―社会体験をデザインする
経験を取り戻す―意思決定に対するコントロール能力を高める
見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

 

第5章 心地よければやってよし――経験が節操を失わせるとき
ジョーの経験―自分に都合の良い外部性
ジョーの経験に合致する心地よい麻痺状態
成果だけにとらわれず、隠されたプロセスを明らかにする
情報に基づく配慮で共感を超える
見落としているのは何か? 勘違いをもたらすのは何か?

 

第6章 百発百中の魔弾――経験が成功の秘訣の幻想をもたらすとき
他者の成功から導かれた教訓は当てにならない
自分の成功から導かれた教訓は当てにならない
他者の失敗から導かれた教訓は当てにならない
自分の失敗から導かれた教訓は当てにならない
魔法の治療法―代替療法の危険な教訓
成功例と失敗例の両方を検討する
成功と失敗―何がその違いを生み出すのか?
見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

 

第7章 幸せの妨げ――経験が満足を損なうとき
時間経過に伴う体験の変化―順応と習慣化
記憶された経験―二種類の自己の衝突
相対化された経験―他者との比較
変化に富んだ経験―喜びにつながる経験への投資
経験せずにすんでいること―望んでおらず、なおかつ持っていないもの
見落としているのは何か? 無視すべきなのは何か?

 

結び 経験コーチの知恵
利用可能性バイアス―よく見聞きする事柄の重視
不適切な拠り所
誤った確信

 

謝辞

著者紹介

エムレ・ソイヤー&ロビン・M・ホガース

エムレ・ソイヤー
行動科学者、起業家。複数のスタートアップ企業を設立したのち、ホガースの下でPhDを取得。その後、さまざまな企業と協働して、個人やチームの意思決定を改善するツールや手法を構築している。フランスのINSEADやESSEC、ドイツのミュンヘン工科大学、イタリアのSDAボッコーニ、スイスのザンクトガレン大学、トルコのオジェギン大学などのビジネススクールで客員教授を務めてきた。

ロビン・M・ホガース
人がどのように意思決定をするのかという問題に虜となり、50年以上一貫して研究を続ける。シカゴ大学でPhDを取得後、フランスのINSEAD、シカゴ大学で研究職に就き、現在はバルセロナのポンペウ・ファブラ大学で名誉教授を務める。

翻訳者紹介

今西康子

神奈川県生まれ。訳書に『WEIRD「現代人」の奇妙な心理(上・下)』『ヒトという種の未来について生物界の法則が教えてくれること』『家は生態系』『文化がヒトを進化させた』『蜂と蟻に刺されてみた』『蘇生科学があなたの死に方を変える』(以上、白揚社)、『ミミズの話』『ウイルス・プラネット』(以上、飛鳥新社)、『マインドセット』(草思社)、共訳書に『文化大革命(上・下)』(人文書院)、『眼の誕生』(草思社)などがある。

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