- 定価 2670円(本体 2427円+税10%)
- 四六判 上製 ・344ページ
- 1992年 6月 刊
- ISBNコード:978-4-8269-9004-2
- 分類コード:C0098
- 在庫状況:品切
- THREE MEN OF THE BEAGLE by Richard Lee Marks
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ビーグル号の3人 艦長とダーウィンと地の果ての少年
イギリス軍艦ビーグル号で航海する,青年ダーウィン。ビーグル号の艦長,フィッツロイ。そしてフィッツロイによりイギリスに送られた神なき部族ヤーガンの少年ジェミー。三人の運命を軸に,進化論誕生の舞台裏に迫る異色ノンフィクション。
目次
Ⅰ 事の起こりからとりあえずの結末まで
船とバスとトラックを乗り継いで、世界最南端の町ウシュアイアへ
未開の部族ヤーガンの裸の少年が、ただ呆然とビーグル号を見つめていた
艦長、人質のフエゴ・インディオについて、高貴にして崇高なる計画を思いつく
イギリスの港で出会った蒸気船の煙に、船酔いの苦しみも恐怖も忘れて
フエジアは英語、ヨークは大工仕事が得意。ジェミー少年は行儀よくお洒落になった
イギリス滞在中のクライマックスは、フィッツロイとともに国王と王妃に拝謁
フィッツロイ、インディオ送還と、第二次測量調査にむけ奔走する
ビーグル号に乗りこむ博物学者として、ダーウィンはまさにうってつけの人物だった
仲間たちの乱暴な出迎えのなか、故郷ティエラ・デル・フエゴに戻る
ふえつづけるフィッツロイの測量データと、ダーウィンの標本で船室は一杯だった
フィッツロイはじめ友人たちと再会できて、ジェミーは心の底から喜んでいた
陸上で逆風に見舞われたフィッツロイが、ダーウィンとともに最後の航海に乗り出すまで
ヨーロッパじゅうの新聞が書きたてた、ジェミーをめぐる異常な犯罪の物語
Ⅱ 真の事件の幕開けから終結まで
二〇年後のティエラ・デル・フエゴで、宣教師ガーディナーの一行が襲撃された
パタゴニア宣教団の指導者デスパードが、ジェミーを活動に巻きこもうと立ち上がって
ダーウィンがひたすら研究に没頭して、二〇年もの長きにわたり沈黙を守った理由
下院議員からニュージーランド総督へと、フィッツロイ、荊の道をたどる
宣教団の新船アレン・ガーディナー号が、ジェミーを探してビーグル海峡を行く
殉教者ガーディナーの息子の説得で、ジェミー、フォークランド諸島に移る
島にやってきたヤーガンは英語が気に入り、賛美歌を歌うのが好きで洗礼も受けた
男も女も棍棒を振りかざし、石を投げて襲いかかるヤーガンの群れ
唯一の生き残りを救出した捜索隊の前に、ジェミー・バトンがひょっこり姿を見せて
Ⅲ ジェミー・バトン裁判
大量虐殺の報を受けたムア総督は、慎重にゆっくり事を運ぶことにした
生き残ったコールズと捕まったジェミーの証言、そして虐殺事件をめぐる論議のゆくえ
文明世界の博愛を未開の世界につなぐデスパードの宣教の夢は崩れ去った
襲われた船の回収に赴くスマイリーを、ジェミーが事件現場に案内して
Ⅳ この物語の真の結末
もはや新聞も一般市民も、この物語に関心を寄せることはなかった
フィッツロイとダーウィン──すぐれた敵対者として、愛する友人として
不遇の海軍少将、天気予報の確立に邁進し、『気象の本』を好評裡に出版する
『種の起源』をめぐる大論争のなかで、フィッツロイは苛だっていた
当時、指導的立場にあった学者の多くは、ダーウィンの理論を受けいれなかった
ダーウィン理論へのフィッツロイの反応は、個人的な感情より深いものだった
ダーウィンはフィッツロイの死に、自らの歳月が音をたてて過ぎていくのを感じた
ヤーガシャガの黄昏のなかで、ジェミーは文明の胎動を感じていた
一九六〇年代に最後のひとりが死に、ヤーガンは巨鳥モアのように絶滅した
Ⅴ ダーウィンは生きのびた
十九世紀、ダーウィンほど完璧にしかも膨大な量の仕事をなし遂げた者はなかった
ヴィクトリア女王と妻のエンマが、ダーウィンを踏みにじった
訳者あとがき