- 定価 2970円(本体 2700円+税10%)
- 四六判 並製 ・351ページ
- 2024年 6月 24日 刊
- ISBNコード:978-4-8269-0260-1
- 分類コード:C0045
- The Hidden Kingdom of Fungi by Keith Seifert
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菌類の隠れた王国 森・家・人体に広がるミクロのネットワーク
カビ・キノコ・酵母・地衣類…ちっぽけで地味なのに、
地球や文明を動かすほど強力な生き物!
面白雑学満載で楽しく読めてためになる、ありそうでなかった菌類の一般向け入門書!
・キノコを栽培して食料にするアリがいる
・2万3000通りの性別をもつキノコがいる
・世界一大きな生物は菌類(重量にしてシロナガスクジラ200頭分以上)
・森の木々はキノコの菌糸を通して情報伝達している
・脳に侵入し甲虫を操るゾンビ菌がいる
・たった1種類のカビが原因で北米の栗は絶滅した
・ビール酵母とパン酵母は「家畜」菌
菌類の分類や生態から、植物や昆虫との共生、農業や発酵など人類との関わり、病原体としての脅威、新素材や新食品開発などの菌類テクノロジーまで、キノコ・カビ・酵母のあらゆるトピック総まくり。
:::::::::本書への賛辞:::::::::
「見えていないだけで、菌類はそこら中にいる。森や農地、食べ物や薬の中にも――さらには私たちの家や体にまで。(……)菌類がいかに私たちの暮らしを豊かにし(時折、脅かし)ているかを鮮やかに描いた素晴らしい本」
――ペーター・ヴォールレーベン『樹木たちの知られざる生活』著者
「アマチュア菌類学者の参考書として、これ以上の情報源はない。網羅的で正確、それでいて魅惑的な本」
――ユージニア・ボーン『マイコフィリア』著者
目次
序文 ロブ・ダン
菌類の名称について
イントロダクション ダストの中の多様性
約束の土地
菌界──菌類の王国
菌類のウムヴェルト
第I部 隠れた世界
第1章 コロニーの中の生活……菌類の進化
菌類を見るには──同定、培養、解析
菌糸、菌糸体、胞子──ある菌の一日
第2章 ともに生きる生物……相利共生から寄生、生物学的侵入まで
地衣類──菌類と藻類のギブアンドテイク
ハキリアリと菌糸の園──農業の発明
片利共生──何もしてくれない友人
グレーゾーン──寄生菌か病原菌か
侵入──外エイリアン来種がやってきた
侵入された細胞
第II部 菌の惑星
第3章 森……木を見て菌を見る
空の上の街──内生菌と着生菌
地下からの手紙──菌根菌と根圏菌
木を弱らせるキノコ
菌に侵された森
すべてを分解する──木材の腐食と栄養素循環
生物的防除──共生関係を応用する
第4章 農業……世界で七番目に古い職業と菌類
作物の共生菌──菌根菌、根圏菌、内生菌
さび病は眠らない
徐々に効く毒──麦角病とマイコトキシン
アフラトキシン、ボミトキシンそして近代農業
農業における生物的防除法──ボーベリア属菌とノゼマ属菌
農から食へ
第5章 発酵……食品、飲料、堆肥
甲虫からボトルへ──酵母による発酵
生命の一切れ──イースト発酵のパン
はいチーズ!──カビ発酵の乳製品
東洋の宴──醬油に始まるコウジカビの冒険
デザートにはチョコレートドリンクか紅茶、コーヒーを一緒に
食うべきか、食わざるべきか──腐った食べ物か、食べられる堆肥か
第6章 秘密のすみか……菌類と屋内環境
床下や壁の間に──木材の腐朽や青変
湿った狭い場所──キッチン、洗面所、パイプの水漏れ
砂漠の空気──好乾性菌類、ダニ、カビ胞子
私たちが吸う空気(その一)──カビ粒子、マイコトキシン、アレルギー、喘息
第7章 ホロビオント……マイコバイオームとヒトの体
皮膚──フケや、菌が原因の不快症状
消化管──謎の多い共生菌、カンジダ属菌
私たちが吸う空気(その二)──肺で増殖する菌類
AIDSと真菌感染症の増加
マイコバイームと抗真菌薬
第III部 菌糸革命
第8章 マイコテクノロジー……菌類のある暮らし
工業的マイコテクノロジー──有機酸、プラスチック、酵素
バイオプロスペクティング──新薬の探索
マイコフードとバイオ燃料
マイコレメディエーション──環境修復の新たなアプローチ
ブティック型バイオテクノロジー
マイコテクノロジーに囲まれた世界
第9章 高度一万メートル……菌類と地球の持続可能性
政策と規制──貿易とビジネス、生物多様性のバランスを取る
生物標本コレクション──科学研究と持続可能性のバランス
シチズンサイエンス──菌類との新しい関係
ワンヘルス──持続可能な世界に向けたビジョン
謝辞
訳者あとがき
付録 菌類の分類
原注
参考文献
索引
著者紹介
キース・サイファートカールトン大学教授。40年以上にわたり、五大陸を股にかけ菌類を研究してきた。カナダ農業・農産食料省研究所では長年、農場や森林、食品の中の菌類について、また、屋内のマイコトキシンの抑制、菌類が原因の動植物の病気を研究してきた。International Mycological Associationの会長、Mycologia誌の編集長なども務めた。カナダ、オタワ在住。
序文著者紹介
ロブ・ダンノースカロライナ州立大学教授。著書に『家は生態系』『ヒトという種の未来について生物界の法則が教えてくれること』(以上、白揚社)、『世界からバナナがなくなるまえに』(青土社)などがある。アメリカ、ノースカロライナ州ローリー在住。
翻訳者紹介
熊谷玲美東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻修士課程修了。訳書にハリー・クリフ『物質は何からできているのか』、エリック・アスフォーグ『地球に月が2つあったころ』(以上、柏書房)、エマ・チャップマン『ファーストスター』(河出書房新社)、デイビッド・バリー『動物たちのナビゲーションの謎を解く』(インターシフト)、アリ・S・カーン他『疾病捜査官』(みすず書房)、サラ・パーカック『宇宙考古学の冒険』(光文社)など多数。