- 定価 2640円(本体 2400円+税10%)
- 四六判 上製 ・420ページ
- 2015年 8月 30日 刊
- ISBNコード:978-4-8269-0182-6
- 分類コード:C0033
- Forecast by Mark Buchanan
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市場は物理法則で動く 経済学は物理学によってどう生まれ変わるのか?
経済学は物理学でさらに強くなる!
市場均衡、合理的期待、効率的市場仮説……これまで経済学が教えてきた考えでは、現実の市場は説明できない。『複雑な世界、単純な法則』などのベストセラーで、物理学の視点から人間社会を見事に読み解いてきた著者が、経済学の常識に鋭く切り込む!
目次
はじめに
1 均衡は妄想である
混乱の四分間——フラッシュ・クラッシュの謎/均衡の経済学と中世の物理学/市場の崩壊/罪深き経済学者たち/では、いったい物理学に何ができるのか/均衡から不均衡へ/フォアキャスト——新しい知識は「予測」をもたらす
2 驚異的な計算装置
二人の天才——スミスとニュートン/「見えざる手」の数学/予測どおりに予測不能/ファーマと効率的市場仮説/完全な市場を目指して/市場が一番よく知っている?
3 その理論に科学的根拠はあるか
集団の知恵と社会的影響/強欲は善である/カテゴリー5のハリケーン/著しくまれな例外/ニュースは株価にどんな影響を与えるか/それでも効率的市場を信じる人たち/ハンマーと釘
4 地震と株式市場
べき乗則、地震、金融市場/見えてきたパターン/珍しい出来事は考えているほど珍しくない/過去が現在をつくる——市場の長期記憶/米粒の山、米粒の雪崩/ハリケーンから効率的市場仮説を考える
5 進化する人間のモデル
重要であるためには偽でなければならない/フリードマンの狡猾なごまかし/投資ファンドの舞台裏/ゲーム理論とナッシュ均衡/学習は均衡を嫌う/もう一つの正典/ホモ・エコノミクスからホモ・サピエンスへ
6 市場の生態学
人は「考えている」ときに何を「考えている」のか/ブライアン・アーサーの市場モデル/マイノリティ・ゲーム/市場モデルはどこまで現実に近づいているか/戦略の生態系としての市場/猫の群れを集めるようなもの/人間行動の無限の複雑性
7 効率性の落とし穴
「専門的に言うなら、最悪だった」/レバレッジとボラティリティの本当の関係/代表的個人と交通渋滞/デリバティブは大量破壊兵器だ/リーマン・ショック再考/「効率的フロンティア」にはご用心
8 テクノロジーは市場をどう変えるか
楽な呼吸、高い流動性/洪水と株価変動/境目は一秒/再び、フラッシュ・クラッシュについて/ネットワーク社会の危険性/テクノロジーは私たちをどこへ連れていくのか
9 消え去りゆく幻影
マクロ経済学のミクロ的基礎付け/大切なのはモデルか、それとも現実か/アニマル・スピリット/哲学者のなり損ない/ミンスキーのシナリオ、レバロンのモデル/合理的期待を超えて
10 経済危機は予測できるか?
歴史は繰り返さない/不完全でも役に立つ予測/不安定性を回避する/データ革命と予測の未来/目指すべき場所
訳者あとがき
解説——経済物理学の誕生と発展(高安秀樹)
原註
索引
著者紹介
マーク・ブキャナン1961年クリーブランド生まれ。物理学で博士号を取得。『ネイチャー』、『ニューサイエンティスト』等の編集者を経て、現在フリーのサイエンスライター。著書に『歴史の方程式』(早川書房)、『複雑な世界、単純な法則』(草思社)、『人は原子、世界は物理法則で動く』(白揚社)。
翻訳者紹介
熊谷玲美翻訳家。東京大学大学院理学系研究科修士課程修了。主な訳書に、パイル『NASA式 最強組織の法則』(朝日新聞出版)、マーレー『世界一うつくしい昆虫図鑑』(宝島社)、ディアマンディス/コトラー『楽観主義者の未来予測』(早川書房)、『ビッグクエスチョンズ 数学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。
解説者紹介
高安秀樹1958年千葉県生まれ。東北大学大学院情報科学研究科教授を経て、現在ソニーCSLシニアリサーチャー、明治大学研究・知財戦略機構客員教授。主な著書に『フラクタル』(朝倉書店)、『経済・情報・生命の臨界ゆらぎ』(共著、ダイヤモンド社)、『経済物理学の発見』(光文社)、主な訳書にマンデルブロ『禁断の市場』(監訳、東洋経済新報社)など。
書評情報
週刊エコノミスト 2016年5月31日号 マーク・ブキャナンインタビュー掲載
週刊東洋経済 2015年9月12日号