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定価 3300円(本体 3000円+税10%)
四六判 上製 ・436ページ
2016年 11月 23日 刊
ISBNコード:978-4-8269-0188-8
分類コード:C0042
在庫状況:品切
Zuruck vor den Urknall by Martin Bojowald

繰り返される宇宙 ループ量子重力理論が明かす新しい宇宙像

マーチン・ボジョワルド 著 前田秀基 訳

宇宙は本当にビッグバンから始まったのか?

 

アインシュタインの一般相対性理論によると、私たちの宇宙はビッグバンという爆発から始まりました。では、ビッグバン以前の世界はどうなっていたのか? 物理学者たちは、それは「わからない」と答えます。というのも、ビッグバン以前について語ろうとした瞬間に、一般相対論は破綻して役に立たなくなってしまうからです。

 

本書のテーマであるループ量子重力理論は、そのアインシュタインの理論を破綻から救い出し、宇宙誕生のメカニズムを解き明かすと期待されているものです。著者のマーチン・ボジョワルドは、20 代の若さでループ量子宇宙論に重要なブレークスルーをもたらした現代物理学界を代表する天才研究者。本書では、そのボジョワルド自らが、第一線の研究によって明らかにされた最新の宇宙像を語り、ビッグバンは始まりではなく、宇宙は収縮と膨張を繰り返してきたとする驚愕のシナリオを提示します。

 

目次

はじめに

1 すべての始まり

 

2 重力

ニュートンの重力法則

特殊相対性理論

一般相対性理論

曲がった時空

空間と時間の終焉

特異点を回避できるか?

 

3 量子論

波動関数

不確定性原理

古典物理学から量子論へ

熱放射の測定

量子的になることの途方もなさについて

 

4 インテルメッツォ

数学の魔力

乱用される無限大

理論と仮説

 

5 量子重力理論

量子重力理論の候補者たち

ループ量子重力理論

いかに発展したか

さらなる詳細

ループ量子宇宙論

少ないことは多いこと

ただ一つの数式

ではビッグバンの前に実際何が起きたのか?

宇宙の忘却

限界の果たす役割

 

6 観測的宇宙論

宇宙背景放射

銀河の地図

超新星爆発

負の圧力

量子重力の観測?

さらなる検証の可能性

 

7 ブラックホール

誕生まで

特異点と事象の地平線

裸の特異点と宇宙の検閲官

ブラックホールの量子論

ホーキング放射と情報喪失

量子重力理論はブラックホールをどう記述するか

 

8 時間

時間の概念

エントロピー

時間の矢

 

9 宇宙進化論

アナロジーの力

神話

理論

現代宇宙論

繰り返される宇宙

 

10 ただ一つの世界

初期値という問題

宇宙の波動関数

宇宙は存在しない?

物理的な描像

動的な初期条件

一つの世界

 

11 万物の理論

科学を基礎づけるもの

一つの理論、一つの解

科学の限界と自然の崇高さ

 

日本語版あとがき/訳者あとがき/原註/索引

著者紹介

マーチン・ボジョワルド

1973年ドイツ・ユーリッヒ生まれ。アーヘン工科大学で博士号を取得。マックスプランク研究所等を経て、現在ペンシルベニア州立大学重力・宇宙研究所教授。ループ量子宇宙論の先駆的研究者。

翻訳者紹介

前田秀基

1974年東京生まれ。早稲田大学大学院博士後期課程修了。博士(理学)。Centro de Estudios Cientificos(チリ)等を経て、現在北海学園大学工学部教授。専門は重力理論・宇宙物理学。訳書に『ガモフ博士の物理学講義 Ⅰ』(白揚社)がある。

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